電子契約のコラム
近年はビジネスのグローバル化が進んでおり、大手企業に限らず、中小企業や個人の商店などでも海外企業などと取引を行ったり、海外進出のために現地でテナントを借りたりするなど様々な契約をする機会が増えています。
アメリカやヨーロッパ、中国や韓国、東南アジアなど様々な海外企業との取引が予想される中、海外企業と契約書を取り交わした場合に印紙税の納付が必要かについて確認していきましょう。
印紙税とは印紙税法によって納付が義務付けられている税金で、契約書をはじめ、印紙税法に定める文書を取り交わす場合に契約の種類や態様、契約金額などに応じて定められた税額を納めなくてはなりません。
納付方法は必要な額の収入印紙を購入し、契約書面に貼付したうえで、使いまわしができないように消印をするという方法で納めます。
では、海外企業との契約にあたって契約書に印紙税の納付が必要になるのでしょうか。
国税庁によると、印紙税法というのは日本国で定めた法律であり、その適用地域は日本国内に定められています。
そのため、契約書がどこで作成されたかで印紙税が必要になるかどうかが変わってきます。
つまり、海外企業との契約においては、契約の相手方が海外企業かどうか、海外にいるかどうかで考えるのではなく、契約書をどの国で作成したのかが基準となります。
契約書の作成が海外で行われた場合には、契約の内容の実行が日本国内であっても、印紙税は課税されません。
また、海外で作成した契約書を日本で保存する場合も同様に印紙税は不要です。
日本企業が契約書を作成すると言っても、作成した場所が基準になります。
たとえば、日本国内で日本企業が作成のうえ、契約も日本で締結して日本国内で契約書面を完成させた場合には印紙税の課税対象です。
これに対して、日本で日本企業が作成した契約書を海外に郵送し、海外の企業が海外で署名をして日本へ返送してきたとします。
この場合、契約書が完成したのは海外で海外企業が署名をした時点です。
ということはこの場合は、日本国内で契約書が完成していないので印紙税は課税されません。
もっとも、いずれのケースであっても、契約書はそれぞれの企業で保管されることになるでしょう。
日本国内で契約書が保存されると、海外で完成されたものなのか、日本国内で完成したものなのかがわかりにくくなります。
そのため、いつ、どこで作成されたものであるかを明確にしておくことが大切です。
契約書上には日付のほか、作成場所を記載するなどしておきましょう。
そうしないと、後日、日本企業に税務調査などが入った際に印紙税の納付漏れなどを指摘されてトラブルになるリスクがあります。
海外の企業が契約書を作成しても、その場所が日本国内であり、日本で契約書が完成した場合には印紙税の納付義務が発生します。
また、海外企業が作成した契約書を日本に郵送し、日本企業がそれに合意の印鑑や署名を入れた場合も、契約書の完成は日本なので印紙税が必要です。
印紙税法における課税対象となる契約書の作成の定義は、単なる契約書類の作成行為を指すのではなく、課税文書となるべき用紙に課税事項を記載して、その文書の目的に従って行使することとされています。
文書の目的に従って行使するとは、当事者の意思の合致を証明する目的で作成する契約書の場合はその意思の合致が行われた時点となります。
つまり、双方の署名や捺印がそろって契約書が完成したと企業が考えた時点です。
このように海外企業と契約書を取り交わすうえでは、どちらが契約書のベースを作成したかではなく、契約書として完成した時点、双方の意思が合致した時点はいつであり、それが国内であったのかで決まります。
海外で契約書を取り交わして、日本国内に持ち込んでも印紙税は課税されません。
また、日本で日本企業が契約書を作成したうえで、後は海外企業が署名捺印などをするだけの状態にして海外に郵送した場合、海外で署名捺印が押されたときに契約書が完成します。
それが郵送で日本に戻ってきても、印紙税の課税対象にはなりません。
このようにどこで完成したかが基準になりますが、それを保管するにあたっては、紙の書類ゆえにどこで完成したのかがわかりにくくなってしまいます。
そのため、契約書が完成した場所が明らかになる形で保管しておかなければいけません。
契約書の種類や金額、完成場所によって収入印紙の要否が異なるため、印紙税法基本通達第49条の規定をはじめ、専門家に確認をとるのが安心です。
海外企業との契約では契約の種類や態様、金額だけでなく、どこで契約書が完成したかで印紙税が課税されるかが異なってきます。
そのため、契約書を保管するうえでもどこで最終的に作成されたのかを明らかにしておかないといけません。
もし、電子契約を導入できれば、契約の種類を問わず、作成場所も問われず、印紙税の納付は不要となります。
国際便の利用や契約のために海外まで往復する旅費などもカットでき、海外企業とのやり取りも低コストでスムーズになりますので、海外とのビジネスを拡大したいなら電子契約の導入がおすすめです。