電子契約のコラム
インターネット上であらゆるやり取りが行われるようになり、対面することなく情報の受発信が可能となりました。それに伴い急務となったのが、本人確認や情報の改ざん確認です。それらの確認作業に対し、有効な手段として確立したのが電子署名です。そして、電子署名に対する法的な水準となるのが、電子署名法です。企業として大幅なコスト削減に繋がる電子契約に移行するためには、電子署名法について理解を深めておくべきでしょう。
電子化された文書に付与する電子的な署名です。ただし、単に署名をデジタルデータにしたものではありません。紙の書類であれば、作成者が直接サインや押印をすることで本人証明できますが、電子文書ではそのようなことはできません。たとえサインや押印の画像を貼り付けたところで、誰もが簡単にコピーペーストできるようなものでは証明力がないのは当然です。
また、インターネット上に情報を載せた瞬間から、改ざんリスクが発生するのも事実です。電子署名は間違いのない本人証明を可能とし、同時に内容が途中改ざんされていないことを保証する効力を持ったシステムである必要があります。電子署名は文書の同一性と、署名者本人の意思確認も同時にできるものでなければ効力がないと言えるでしょう。
たとえばクラウドスタンプでは、送信者が書類を作成・送信した段階で、送信者の書面に対する同意の記録として電子署名を付与します。また同じように、受信者が同意もしくは他の権限者に転送した場合も、受信者の意思として電子署名を付与します。
署名が付与された後の非改ざん性をタイムスタンプで証明することで、証拠力を担保する仕組みとなっています。こうした確固たる証拠力があってこそ、安心してその文書を信用することができるわけです。
この法律が施行されたのは2001年4月1日ですから、すでにかなり古い法律と言えます。この法律は、電子文書に付与される電子署名の法的有効性を定めたもので、電子署名として認められるための水準を定めたもの、と理解すれば良いでしょう。
定義をまとめると、「本人性」と「非改ざん性」が確認できるものであり、「電磁的記録については、本人による電子署名が行われているときは真正に成立したものと推定する」としています。
これは民訴法で、「紙に押印もしくは署名された文書は、真正に成立すると推定される」という内容に対応するもので、同じように電子文書であっても本人の電子署名があれば同等の法的証拠性が与えられることを意味します。これを「電磁的記録の真正な成立の推定」と言いますが、要するに、本人の意思で作成されたものと推定する、という意味になります。
電子署名を行うソフトウェアでは、署名検証機能を用意して本物であることを確認するのが一般的です。また、電子署名の認証業務は、一定の基準を満たす場合、総務大臣、経済産業大臣および法務大臣の認定を受けることができます。これは任意的な認定認証制度ですので、認証機関を設立するために監督官庁の許認可などはありません。
電子署名法は、電磁的記録が真正と認められるレベルを国が定めることで、デジタルデータによる商取引がより活発になることを目指しています。つまり、ネットワークを利用した社会経済活動を推進するために法的基盤を確立したと言えるでしょう。
電子署名が付与された電磁的記録、つまり契約書類や請負書類などが従来の紙の書類と同等に利用され、任意的な認定制度を導入してユーザーに信頼性の目安を提供することが背景です。もちろん電子商取引に必須なのは信頼性ですが、先にも触れたように本人性と非改ざん性が確立されれば、ペーパーレス化がより一層進みやすくなるでしょう。
国を挙げてデジタル化が進められているわけですが、電子署名活用は企業にも多大なメリットがあります。
どういった点が有利になるのかまとめてみましょう。
電子署名の信頼性は非常に高くなっています。今や、改ざんやなりすまし、事後否認などを防止するのに重要な役割を持つまでに技術が進化しています。紙ではなく、書類を電子化した方が、よりセキュリティ対策に繋がるのであれば申し分はないでしょう。企業間の行き違いや、契約後に内容が覆されるような商取引上のリスクも避けることができます。
国を挙げてペーパーレス化が推進される理由は、ほかならぬコストの大幅削減です。年間にどれほどの書類が印刷、製本、ファイリングされているかを冷静に考えればすぐに分かることでしょう。それらが全てカットでき、書類の郵送コストもなくなり、双方が長期間保管する管理コストもなくなります。どれほどのコストメリットがあるか、想像は容易でしょう。作業にかかる人件費も削減できますし、デジタルであれば契約書の印紙代も不要になり、節税にもなります。
電子署名法を理解すれば、実は国も強く推進する方針であることが理解できます。これからの商取引は間違いなくデジタル化が加速する予測もあります。導入を検討するなら今と言えるでしょう。