電子契約のコラム
企業取引や個人客との間で不動産の売買など高額な取引や重要な取引を行う場合の契約書は、定める内容や条項も多く複数枚になりがちです。
その場合は改ざんや偽造のリスクを抑えるために袋とじなどをするのが慣例となっています。
なぜ、袋とじが行われるのか、また、その適切な方法について確認していきましょう。
専門の部署を持っていない会社やアウトソーシングをしていない会社においては、営業担当者や契約の担当者が自ら契約書の袋とじ作業に追われて、それだけで業務時間が費やされたり、残業が発生したりすることも少なくありません。
何となく上司に言われるがままに袋とじをしているという方もいると思いますが、これには理由があります。
契約書が2枚以上になる場合には、改ざんの防止のために契印という印鑑を押すのが商慣習です。
もっとも、契約書類が何枚にも及ぶ場合に契印を押していくのは手間であり、うっかり押し忘れる心配もあります。
そこで、契印の数を減らしたり、うっかりの押し忘れを防いだりする方法として、改ざんのリスクを抑える、袋とじや製本という方法が編み出されたのです。
今現在、袋とじ作業をしているという方も、やったことがないという方や、他のスタッフがやっているのを遠目で見ているだけという方もいることでしょう。
ここでは、契約書を袋とじするうえで必要となるアイテムをご紹介します。
当たり前ですが実際に使う紙の契約書が必要です。
必要な項目を予め、ひな型などを通じて作成し、今回の取引専用の項目を定めたうえで、一般的には日付や住所、氏名や印鑑のみ押せばいいような状態に整えられているケースが多くなっています。
複数にわたる契約書を綴じるために、ホチキスと替え用の芯などを準備しておきましょう。
芯は通常の銀色のものが無難です。
市販の製本テープを用意します。
契約書の厚みにもよりますが、35ミリがよく使われる幅です。
また、テープのカラーも様々ありますが、契約の内容や目的、企業のイメージなどに合わせて、社内で統一したものを選ぶといいでしょう。
赤や黄といった派手なカラーより、黒や紺、白などの落ち着いた色や目立たない色がおすすめです。
製本テープをカットするのにカッターやハサミなど、切断するために利用しやすい文具も用意します。
印鑑は契印や割印を押すためのものを、社内で予め統一して準備しておきましょう。
契印は基本的に契約書の当事者として押印するのと同じ印鑑、割印は署名押印した印鑑と同じでなくてもかまいません。
朱肉は契印や割印を押すために必要です。
通常は赤の朱肉を使います。
印鑑がかすれて見えないことや、不鮮明だと証拠力などが発揮できないので、朱肉切れには気をつけましょう。
一方、新しい朱肉は印影がにじんでしまう場合があるので、ティッシュオフするなど注意が必要です。
実際に契約書類に押す前に試し印をして良い状態を確認しておきましょう。
袋とじの方法としてはホチキスのみでシンプルに終える方法と、ホチキスでとめてからさらに製本テープを使って製本する方法があります。
それぞれの手順を見ていきましょう。
契約書は通常、左綴じ左開きなので左側をホチキスでとめます。
契約書類が開きにくくなったり、見にくくなったりしないよう左端から5ミリほどの場所の場所が安心です。
縦感覚は契約書面のサイズにもよりますが、端から5センチ間隔でとめるといいでしょう。
ホチキスで綴じたら、ページの差し替えがないことの証明のためにすべてのページの見開き部分に対して契約当事者が契印を押さなくてはなりません。
2枚以上かつ枚数が少なめならホチキスと全見開きページの契印でもいいですが、枚数が多く冊子並みの厚さになる場合や複数の冊子を作らなくてはならない場合には、ホチキスだけだと契印漏れのおそれもあります。
そうした場合には製本テープを利用して製本してしまうのがおすすめです。
製本テープは契約書類のサイズの上下幅より1センチほど長めにカットしましょう。
縦に半分ほど折り目をつけたら、冊子の左端からはめ込みます。
冊子の上下から製本テープが少しはみ出した状態で位置を定めたら、表紙に面した方のテープを紙からはがして、デコボコになったりしないよう丁寧に貼り合わせましょう。
しっかりととめないと後から製本テープがはがれてしまうおそれもありますが、契約書類という重要な書類ですから、見た目にもキレイであることが契約相手に対する配慮でもあります。
ホチキスで綴じた契約書を製本テープで袋とじにすれば、ページの抜き差しができない状態にできます。
そのため、契約当事者が製本テープと文書にまたがって1カ所に契印を押せば契約書が完成でき、ホチキスのみの場合より押す回数を減らせます。
ホチキス留めや製本した契約書を使って、実際に契約を交わした後、契約当事者で契印や割印を押す必要があります。
契印は契約書が複数枚にわたる場合にその1枚が当事者の一方によって勝手に差し替えられたりしないようにという意味で押すものです。
これに対して割印は同時に作成した契約書の同一性や関連性を保証する目的で押されるので、役割が違います。
契約書が複数枚にわたる際、ホチキス留めをしたり、製本テープで綴じたりした後に見開きページやテープにまたがった場所に契印を押印します。
ホチキスや袋とじに加えて、さらなる改ざん防止につながり、契約当事者の安心と信頼につながります。
割印の場所は商慣習的に複数の同一内容となっている契約書の上部をずらして重ね、すべての契約書に印影がまたがるように押すのが一般的です。
契約書は複数枚にのぼるケースが多く、体裁を整えることや、改ざん防止のためのホチキス止めや製本、契印や割印など手続きも面倒です。
業務の効率化や契約のスピードアップを図りたいのであれば、電子契約を導入することで製本や契印などの手間を省くことができます。