電子契約のコラム
企業会計制度や税法などの規定に基づき、取引の証拠や税務調査に備えて領収書は原則として7年間の保存が定められています。
これまでは紙の領収書の原本を保存する必要がありましたが、時代の要請に応えて法律の整備が進み、データ化しての保存が可能となりました。
ただし、紙の原本ではなく、データとしての保存に代えるには法制度上の要件を満たさなくてはなりません。
データ保存を認められるためには、どのような要件が求められるのか、またデータ化のメリットについて方法が求められるのか、基本的な要件を確認していきましょう。
領収書の形状やサイズは発行する企業やおお店によって異なり、量販店などの小売店やタクシーなどでは薄いレシートが領収書代わりになります。また、鉄道の乗車券発券機などのし、機械で発行される場合には、小さなカードのような形態です。
こうした、サイズもバラバラで、文字の大きさやサイズなどもバラバラで、手書きや機械印字などの違いもある領収書をどのようにデータ化していけばいいのか、その方法をご案内します。
データで保存できるなら便利と今日からいきなりはじめるというわけにはいきません。
本来は原本の保存義務があるものを、データとして保存することを認められるするためには、データとして保存するための環境やシステムが整っていることを申請書類で示し、所轄税務署長の承認を受けなければなりません。
事業の期の途中でも申請はできますが、承認を受けるためにはデータ保存を開始したい日の3か月前までの申請が求められます。
ただし、見積書や注文書などの国税関係書類としての重要度が低い書類については承認後遡って電子データで保存が認められますが、領収書は重要度の高い書類なので、承認された以降にやり取りを行った領収書のみがデータ保存の対象となります。
そのため、事業期間の途中からのスタートでは、紙の領収書での保存とデータ保存の両方が存在することになるので、管理に注意しましょう。
従来は、読み取り用の原稿台と一体型のスキャナー、いわゆるオフィスなどに設置して使うスキャナーでスキャンした書類のデータ化のみが認められていました。しかし、に限られていましたが、法改正により、スマートフォンやデジカメで撮影した画像データでも、データ化が認められることになりました。
領収書はサイズや文字の大きさなども異なりますし、スキャンする機器も要件が緩和され選択肢が多いためたとなると、どのようにデータとして保存すべきかが問題となります。
この点については、取引の証拠として視認性と可視性を確保できるよう、解像度25.4mmあたり解像度200dpi以上と一定水準以上の解像度およびカラー画像による読み取りが求められます。
たとえば、A4サイズの紙で解像度の要件を満たすには、約388万画素以上が必要ということです。
また、階調に関しては赤・緑・青、各256階調の場合を例にとると、ExifのBits Per Sampleのタグに888が格納されて、ファイルのプロパティに24ビットと表示されればよいとされます。
領収書のデータが改ざんされることを防ぐ目的から、領収書を受領した者がスマートフォンやデジタルカメラなどで撮影してデータ化する場合は、受領後に受領者が署名の上、3日以内にタイムスタンプを押さなくてはなりません。
ただし、受領者と別の者が、原本と電子データの同一性を全件確認する体制が整備されている場合は、7日以内の早期入力方式や月ごとの決算などに合わせた37日以内の業務サイクル方式の採用が認められます。
領収書のデータ化を申請するには、所轄税務署長に対してデータ保存を開始したい日の33ヵ月か月前までに、所轄税務署長に対して国税関係書類の電磁的記録によるスキャナー保存の承認申請書を提出しなくてはなりません。
申請にあたっての必要書類として以下の書類が必要になります。、国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類、保存を行う電子計算機処理に関する事務手続きの概要を明らかにした書類、申請書の記載事項を補完するために必要となる書類やその他参考となるべき書類を各1部ずつ添付する必要があります。また、その他に参考になるべき書類があれば、そちらの添付も必要です。
タイムスタンプは領収書がデータ化されたた以降に改ざんがされていないことを示すために、電子データがある時刻に確実に存在していたと証明する電子的な時刻証明書であり、改ざんリスクのない第三者機関によるシステムサービスの導入が安心です。
法制度上は相互けん制の仕組みづくりが求められ、画像を読み込む者、データをチェックする者、定期的にチェックをする者の3人体制が求められます必要になります。
従業員数が5人以下、製造業などであれば20人以下の小規模事業者の場合、人員的な問題から「画像を読み込む者」と「、1年に1回以上のペースで定期的にチェックする顧問税理士」などの二者体制でも認められます。
税務署長への申請やが求められたり、スキャンの要件を満たす必要がありしたりと一見大変そうですが、企業では領収書のデータ化が推進されています。
では、これら面倒な手続きがあるにも関わらず推奨されている領収書のを経ても行いたいデータ化には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
領収書を7年間紙で保存するとなると、保管場所の確保や7年経過後の廃棄のコストなどが発生します。
取引量が多ければ領収書の量も大量になりのぼり、ファイルやを買ったりキャビネットの購入や、を買ったり、書庫のスペースのを確保したりが必要になりまです。
データ化することでれば書庫も不要となってり、オフィススペースの有効活用につながるかもしれません。
紙の領収書を分類したり、また、大量の書類の中から必要な書類を探し出すたりのははとても大変なものです。
データ化することで分類もしやすくなり、検索性を高めることで必要な書類をすぐに見つけられ探し出せ、経理の業務効率も上がります。
紙の原本での保存は、火災や地震などの災害発生時に焼失や滅失のリスクがあります。
データで保存ができれば、によりサーバなどに保管を行うことでされ、どこからでもアクセスできたり、バックアップなどの機能を駆使したりすることで安全に保管が可能です。
領収書をはじめ、見積書や契約書など企業活動で発生する大量の書類を電子化していくことで、コスト削減や業務効率の改善、災害対策にもつながります。
法制度も時代を反映して進化していますので、法の動きに即応して電子化を検討してみましょう。